経営ドクターの現場カルテ

経営者保証を外すには?保証に頼らない会社をつくるための条件

2026年10月15日 14:35


経営者保証を外す第一歩は、金融機関への交渉よりも会社の経営体制を整えること。


中小企業が金融機関から融資を受ける際、経営者個人が会社の借入金を保証する

「経営者保証」を求められることがあります。


経営者保証は資金調達を支える仕組みの一つですが、

経営者個人の資産や生活に影響する可能性がある点も無視できません。


では、経営者保証を外すためには、何を整えておく必要があるのでしょうか。


大切なのは、金融機関に保証を外してほしいと伝えることだけではありません。


会社と経営者のお金を明確に分け、財務状況や経営の透明性を高めるなど、

保証に頼らずに融資を受けられる会社づくりを進めることが重要です。


今回は、経営者保証の解除を目指すうえで押さえておきたい基本的な条件と、

日頃から取り組みたいポイントを解説します。

1.会社と経営者個人のお金を明確に分ける

まず確認したいのが、会社と経営者個人のお金の流れです。

例えば、会社の資金を個人的な支出に使っていたり、会社と経営者の間で貸付金・借入金が長期間残っていたりすると、

会社と個人の資産・経営が明確に分かれていないと見られる可能性があります。

会社と経営者の間で資金のやり取りがある場合は、その理由や条件を明確にし、

帳簿上も実態に即して管理する必要があります。

会社のお金と個人のお金を明確に分け、資金の流れを説明できる状態にしておくことが、保証解除を目指すうえでの基本です。


2.会社自身の返済能力を高める

金融機関が融資を判断する際に重視するのは、貸したお金を会社が返済できるかどうかです。

そのため、経営者保証に頼らない資金調達を目指すなら、会社自身の収益力や財務基盤を

整えていく必要があります。


具体的には、次のような点が挙げられます。


  • 継続して利益を確保できる収益構造をつくる

  • 利益を積み上げ、自己資本を充実させる

  • 借入金の返済負担を適切に管理する

  • 資金繰りを把握し、将来の資金不足を早期に予測する


もちろん、利益が出ていれば必ず保証を外せるわけではありません。

業種や事業の状況、借入金の規模なども含めて判断されます。


大切なのは、会社の事業から生み出すキャッシュで、借入金を返済していけることを示せるようにすることです。


3.財務状況や経営管理の仕組みを整える

金融機関は、決算書の数字だけでなく、その数字がどのように生まれたのか、

経営者が自社の状況を把握しているかという点も確認します。


例えば、月次で売上・利益・資金繰りを確認しているか。

計画と実績に差が出たとき、その原因を分析し、改善策を講じているか。


こうした管理ができていれば、金融機関に対しても、自社の経営状況や今後の見通しを

具体的に説明しやすくなります。

決算書を作成して終わりにせず、数字を経営判断に活用できる仕組みを整えることが重要です。


決算書のどこを金融機関が見ているのかについては、こちらの記事でも解説しています。

→ 金融機関は決算書のどこを見る?融資判断でチェックされるBS・PLのポイント


4.金融機関に必要な情報を適切に開示する

保証解除を目指すうえでは、金融機関との信頼関係も欠かせません。

業績が良いときだけでなく、業績が悪化したときや資金繰りに懸念が生じたときにも、

状況を適切に説明することが大切です。

事業計画や資金繰りの見通し、計画と実績の差異、その改善策などを共有できれば、

金融機関も会社の実態を把握しやすくなります。


都合のよい情報だけでなく、課題やリスクも含めて説明し、対応方針を示すことが信頼関係につながります。


まとめ:保証解除を目指すことは、会社の経営基盤を強くすること

経営者保証を外すためには、会社と個人のお金を分けること、会社自身の返済能力を高めること、

経営管理を整えること、そして金融機関に適切な情報を開示することが重要です。

ただし、これらの条件を整えれば必ず保証が外れるというわけではありません。

実際の判断は、融資制度や金融機関、個別の取引状況などによって異なります。

まずは自社の現状を把握し、改善すべき点を一つずつ整えていきましょう。


具体的にどのような方法で保証解除を目指せるのかについては、次の記事で解説します。


→ 経営者保証を外す3つのルートとは?日本政策金融公庫・保証協会・プロパー融資

自社の財務状況や資金調達について、何から整理すればよいか分からない場合は、

経営課題を整理する壁打ちの場を活用する方法もあります。


→ 経営課題整理の壁打ち