
新規事業の始め方は3つある!自社立ち上げ・FC加盟・M&Aのメリットと注意点
2026年11月05日 13:23
「新しい収益の柱をつくりたい」
「本業で培ったノウハウを別の分野で活かしたい」
「既存事業の成長に限界を感じ、新たな事業領域への進出を検討している」
中小企業が新規事業を始める理由はさまざまです。
新規事業というと、自社でアイデアを出し、商品やサービスを一から開発して立ち上げる方法を
イメージするかもしれません。
しかし、実際にはそれだけではありません。
大きく分けると、新規事業の立ち上げには次の3つの方法があります。
ゼロから自社で立ち上げる
フランチャイズ(FC)に加盟する
M&Aで既存事業を取得する
それぞれにメリットと注意点があり、必要な資金や人材、立ち上げまでの期間、
経営者が担うべき役割も異なります。
大切なのは、どの方法が優れているかではなく、自社の経営資源や目的に合った方法を選ぶことです。
今回は、中小企業が新規事業を立ち上げる際の3つの方法について、それぞれの特徴や注意点、
選択する際に確認しておきたいポイントを解説します。
1. ゼロから自社で新規事業を立ち上げる
最も一般的な方法が、自社で新しい商品やサービスを企画し、事業として立ち上げる方法です。
いわゆる0→1(ゼロイチ)です。起業・創業もこれに当てはまります。
既存事業で培った技術やノウハウ、顧客基盤、人材などを活用できる場合は、
本業との相乗効果も期待できます。
主なメリット
自社の強みや独自性を活かした事業を展開できる
商品・サービスや価格、販売方法などを自由に設計できる
事業を通じて得たノウハウや顧客基盤を自社に蓄積できる
既存事業との連携による相乗効果を生み出せる
一方で、事業モデルの構築から顧客開拓、商品・サービスの開発、人材確保まで、
自社で取り組む必要があります。
主な注意点
市場ニーズを十分に把握しないまま事業を始めてしまう
売上が立つまでに想定以上の時間がかかる
必要な人材やノウハウが不足している
既存事業との兼務によって、新規事業の推進が後回しになる
初期投資や運転資金の見通しが甘くなる
特に注意したいのが、事業計画を作成しただけで満足してしまうことです。
新規事業は、計画を作ることがゴールではありません。
顧客の反応を確認し、商品やサービスを改善しながら、売上と利益が生まれる仕組みを
構築していく必要があります。
そのためには、事業を推進する責任者を明確にし、目標やスケジュール、必要な資金、
進捗状況を管理する体制を整えることが重要です。
2. フランチャイズ(FC)に加盟して新規事業を始める
2つ目は、既存のフランチャイズ本部に加盟し、その事業モデルを活用して
新規事業を始める方法です。飲食店や美容、介護、教育、買取、各種サービス業など、
さまざまな業種でFC展開が行われています。
自社で事業モデルを一から構築する必要がなく、本部のブランドやノウハウ、
運営システムなどを活用できることが特徴です。
主なメリット
確立されたブランドや事業モデルを活用できる
商品・サービスの提供方法や運営ノウハウを学べる
開業準備や従業員教育などで本部の支援を受けられる
自社でゼロから事業を構築するより、立ち上げまでの期間を短縮できる場合がある
ただし、FCに加盟すれば必ず成功するわけではありません。
本部が示す売上予測や収益モデルは、あくまで一定の条件を前提としたものです。
立地や商圏、競合状況、採用環境、運営体制などによって、実際の業績は大きく変わります。
主な注意点
加盟金、保証金、設備投資などの初期費用
ロイヤリティや広告分担金など継続的に発生する費用
営業エリアや価格設定、仕入先などに関する契約上の制約
本部の経営状況や支援体制
契約期間、更新条件、中途解約、競業避止義務などの契約条件
加盟を検討する際には、本部から提示された収益シミュレーションをそのまま受け入れるのではなく、
自社でも独立して収支計画を検証することが大切です。
可能であれば、既存加盟店や撤退した加盟店の状況も確認し、実際の運営実態を
把握しておきたいところです。
また、FC本部の支援があるとしても、日々の店舗運営や人材管理、資金繰りなど、
事業を経営する責任は加盟企業側にあります。
3. M&Aで既存事業を取得して新規事業に参入する
3つ目は、M&Aによって既に事業を営んでいる会社や事業を取得し、
新たな事業領域に参入する方法です。
自社で一から立ち上げる場合と異なり、既存の顧客、従業員、設備、取引先、
営業基盤などを引き継げる可能性があります。
主なメリット
既存の顧客や取引先を引き継げる
経験やノウハウを持つ従業員を確保できる
既存の設備や店舗、営業拠点などを活用できる
事業基盤を取得することで、立ち上げ期間を短縮できる
既存事業との相乗効果を狙える
例えば、建設会社が設備工事会社を買収する、飲食企業が別業態の飲食店を取得する、
既存の顧客基盤を持つ会社が関連サービスを展開するなど、M&Aを新規事業への参入手段
として活用することが考えられます。
一方で、M&Aには特有のリスクがあります。
主な注意点
買収価格が事業価値に見合っているか
財務・税務・法務・労務などに問題がないか
簿外債務や偶発債務が存在しないか
主要な従業員や取引先が買収後も継続してくれるか
買収後の経営体制や運営方針をどうするか
特に重要なのが、買収後の統合です。
M&Aは、契約を締結して株式や事業を取得すれば終わりではありません。
従業員との関係構築、業務の引き継ぎ、管理体制の整備、既存事業との連携など、
買収後に取り組むべき課題が数多くあります。
この買収後の統合プロセスはPMI(Post Merger Integration)と呼ばれます。
M&Aの成否は、買収そのものだけでなく、買収後に事業をどのように運営し、
成長させていくかによっても大きく左右されます。
4. 3つの方法を比較し、自社に合った選択をする
ここまで紹介した3つの方法には、それぞれ異なる特徴があります。
※上記は一般的な傾向です。実際の投資額や立ち上げ期間、リスクは業種や事業規模、個別の条件によって異なります。
では、どの方法を選べばよいのでしょうか。
判断する際には、次のような観点から自社の状況を整理することが重要です。
① 新規事業に取り組む目的は何か
売上拡大なのか、収益源の多角化なのか、既存事業との相乗効果なのか。目的によって、
適した参入方法は変わります。
② 自社が活用できる経営資源は何か
人材、技術、ノウハウ、顧客基盤、設備、資金など、自社が持っている強みを
活かせる方法を検討します。
③ どの程度の投資と時間をかけられるか
初期投資だけでなく、事業が軌道に乗るまでの運転資金や追加投資も含めて
検討する必要があります。
④ 誰が事業を推進するのか
新規事業を担当する責任者や実務担当者を確保できるか。
既存事業との兼務で十分なのか。
社内に適任者がいない場合は、外部の専門人材を活用することも選択肢になります。
⑤ 撤退基準を決めているか
想定どおりに売上が伸びない場合や、追加投資が必要になった場合に、どこまで継続するのか。
あらかじめ判断基準を設けておくことも重要です。
5. 新規事業は、立ち上げ方を決めた後の実行が重要
新規事業を成功させるためには、どの方法を選ぶかだけでなく、
選んだ事業を実際に動かしていくことが重要です。
自社で一から立ち上げる場合も、FCに加盟する場合も、M&Aで既存事業を取得する場合も、
事業を軌道に乗せるまでには多くの課題が発生します。
事業計画の策定、資金調達、人材の確保、社内体制の整備、営業活動、業務フローの構築、
進捗管理など、取り組むべきことは多岐にわたります。
しかし、中小企業では経営者自身が既存事業の運営を担っていることも多く、
新規事業の推進まで十分に手が回らないケースも少なくありません。
その結果、計画を作ったものの実行が進まない、担当者を決めたものの具体的な進め方が定まらない、
といった状況に陥ることがあります。
こうした場合に必要なのは、単にアドバイスをすることではなく、
事業を具体的なプロジェクトとして設計し、関係者と調整しながら実行を推進する役割です。
新規事業の目的や目標を明確にし、必要なタスクやスケジュールを整理する。
社内外の関係者をつなぎ、進捗や課題を管理する。
そして、状況に応じて計画を見直しながら、事業化まで前に進めていく。
こうしたプロジェクトマネジメントの機能が、新規事業の立ち上げには欠かせません。
新規事業は、始めること自体が目的ではありません。
継続的に売上と利益を生み出し、会社の新たな成長の柱にしていくことが本来の目的です。
そのためにも、自社に合った立ち上げ方法を選ぶとともに、実行を推進する体制まで含めて
検討してみてはいかがでしょうか。
新規事業の企画や立ち上げ、M&A後の事業推進など、経営課題の整理から実行までを
一貫して進めたい場合は、COO代行という選択肢もあります。
株式会社ケイズ・マネジメントでは、経営者と一緒に事業の方向性を整理し、
計画づくりから関係者との調整、進捗管理、実行まで伴走しています。